1.事業の継続
あなたの開業の動機は何でしょうか。
食べていくため?お金儲け?伝えたいものがあるから?自分の力試し?新しいことに取り組むことが好きだから?世の中の役に立ちたいから?
ひとりひとりの個性が違うように、開業の動機も各人により様々でしょう。
しかし、どんな動機であれ、目的達成に向け、共通していることがあります。それは・・・・・・、
ある程度の期間、事業を継続させなければ、いかなる目的でも達成できないといということです。
では、事業を継続させるために必要なものは何でしょうか?良い商品やサービスの提供、健全で成長力のある得意先、堅実で信頼できる仕入先、立地に恵まれた拠点、迅速な物流手段、勤勉で向上心あふれる幹部社員、スリムで効率的な組織体制などなど。それらはどれも大切ですね。でも、これらを適切にコントロールするためには、それに要する資金を事前事前に適切にコントロールすることがとても重要なこととなってきます。ここでの資金コントロールとは、「入いるを図って、出ずるを制す」ことです。
すなわち、無駄な支出を抑えながら資金を効率的に留保し、その資金をできるだけ効率的に再投下することがとても重要になります。これにより、事業が健全に継続できるようになるのです。
ここでは、効率的に資金を残す方法を考えてみましょう。
2.資金を残すためには?
資金を効率的に残すためには、収益の拡大と回収の確実性の向上を図り、無駄な支出を抑えることにより利益の増大を図り、さらに、節税もできるだけ積極的に行うことが必要です。そのためには、経営者としての強い決意を反映した経営計画を立て、その計画に基づいた「計画経営」を行うことです。
3.どこに残すか?
資金は会社に残した方がいいのでしょうか、それとも経営者個人で残した方がいいのでしょうか?これについては、次のように考えてはいかがでしょうか?
将来、金融機関からの借入を考えているならば、ある程度は会社に資金を残すようにし、それ以外ならば経営者個人で資金を残すということです。
どちらの方が効率的に資金を残せるのかと言うと、通常は、個人で残した方がより多くの資金を残せるようになっています。それは、法人にかかる税率と個人にかかる税率等を比較すると後者の税率等の方が低くなるのが一般的だからです。
金融機関からの借入を考えていない場合は、会社の純利益を黒字にする必要はありません。本来の利益分を、経営者の役員報酬などの経費として分配することにより、純利益を赤字にしても構いません。これにより、会社にかかる税金は最低(法人住民税の「均等割り額」、資本金1,000万円以下で札幌の場合、年間7万円)で済みます。個人へ分配された所得には、個人の所得税と住民税がかかりますが、法人に資金を残した場合の税金に比べると少額で済みます。
なお、個人に残した資金は、会社の資金を社長が一時的に預かったものに過ぎません。無駄遣いを避け、会社の将来のためにしっかりと貯えておきましょう。
社長たるもの、500万円や1,000万円位のお金は、いつでも個人から会社につぎ込めるようにしておきたいですね。
一方、将来、金融機関からの借入を考えているならば、決算時には純利益をある程度黒字にする必要があります。純利益が赤字ならば、新規の借入や追加の借入ができないこともありますし、ときには、残っている借入の一括返済を求められることさえ考えられるからです。
4.さらに効率的に!
資金をさらに効率的に残そうとするならば、次のこともぜひ検討しましょう。それは、「所得の分散」です。これは、「究極の節税」とも言えるものです。
配偶者,子、親、兄弟姉妹その他の親族にも仕事を手伝ってもらい、給料を支給することができます。また、場合によっては賞与や退職金を支給することも可能です。なお、学生などで常時働けない場合でも、アルバイトとして働いてもらったり、非常勤役員として働いてもらうことも可能です。