あなたの会社をさらに繁栄に導くために次の5項目をよく理解し、ぜひ、実行しましょう!
1.獲得利益を最大化しよう!
会社の収益性の高さは、売上高や経常利益などの大小だけで判定することはできません。なぜなら、同じような規模の会社でも、会社によっては、役員報酬や減価償却費などの水準に大きな開きがあるからです。
では、自社の収益性をどのように計ったら良いのでしょうか?
それには、「獲得利益」という新しい概念で計ることをお勧めします。獲得利益は次のように計算します。
獲得利益 = 経常利益 + 減価償却費 + 役員報酬(配偶者給料を含む)
- (1)当面は、この獲得利益が、年間で1,200万円になるよう頑張りましょう。月100万円です。
- (2)さらに、次のステップとして、経営者一家の役員報酬と給料の合計だけで、年間1,200万円を取れるようになりたいですね。色々と工夫を重ねることにより可能となります。ぜひ、チャレンジしましょう。社長の仕事にはそれだけの価値があるはずです。
2.無借金経営を目指そう!
安易な借金は避けなければいけません。借金しても良い場合とはどのような場合でしょうか?それは、利益の拡大に結びつく、「設備」や「人」などへの投資を行う場合です。つまり、自己資金だけではこれらの投資に不足をきたす場合で、将来において、利息を支払ってでも、それ以上の利益の拡大が見込まれる場合です。単に、運転資金が不足するからといって、安易に借金に頼るのはとても危険です。
借金の元金返済に使える財源は、(税引き後純利益+減価償却費)です。借金するということは、その後毎期、
(税引き後純利益+減価償却費)> 借金の元金返済合計額
という条件式を満足させる経営を継続して行う必要に迫られるのです。これができないと、運転資金の減少を招くことになるので、なかなか「しんどい」条件と言えます。
だからこそ、無借金経営を目指す必要があるのです。既に借金があるときは、血のにじむような努力が必要になります。それでも、将来の健全な繁栄のために、無借金経営をぜひ目指して欲しいのです。
また、独立開業を考えている方ならば、借金に頼らないで開業できないか、よく検討して欲しいものです。開業資金を出してくれる人がいるならば、借金とせずに、できるだけ株主になってもらいましょう。
全国の黒字会社で、支払利息が売上に占める割合は0.7%、粗利益に占める割合は2.7%ほどになっています。せっかく稼いだ儲けから、金融機関という外部へこれだけお金が流出していることになります。勿体ないですね。(※注1)
(※注1)これらの数値は「TKC経営指標BAST2008年版」による。
3.最低必要純利益をつかもう!
次回の決算時までに必要とされる純利益をつかみましょう。これを最低必要純利益と言いますが、キャッシュ(運転資金)を残すための最低必要純利益は次のように計算できます。(※注2)
(※注2)これは「簡便計算」です。厳密に計算するためには、もう少し複雑になります。当事務所へご相談ください。
- (1)最低必要純利益は次の5点を決定すると自動的に決まります。業種、業態、事業規模に関係なく決まります。すなわち、売上や仕入・外注、人件費やその他の費用の水準とは関係なく、次の5点を決めると、最低必要純利益は自動的に決まってしまうわけです。このことを念頭に置いて、以下にお進みください。
(※注3)ここでは、運転資金を流動資産と流動負債の差額とします。
- (2)最低必要純利益は次のように計算されます。目標とする運転資金増加額を獲得するために、絶対達成しなければならない純利益で、法人税等の控除後の純利益です。
- (3)目標税引前純利益を次のように計算します。目標とする運転資金増加額は、法人税等を支払った後での純増額なので、税引前純利益は法人税等の金額も合わせて獲得する必要があります。
住民税均等割り額は会社の資本金と従業員数で決まっています。(最低でも7万円です。)
平均税率は40%(=0.4)としても良いでしょう。
- (4)目標粗利益を次のように計算します。
固定費 = 販売費管理費 + 営業外費用 −営業外収益 とします。
- (5)これで、目標売上高も計算できます。
- (6)達成のために堅い決意を
最低必要純利益、目標税引前純利益、目標粗利益を絶対獲得するんだという堅い決意が大切です。できない理由を挙げ連ねるのではなく、どうしたらできるようになるのか、とことん考え抜いてください。その積み重ねが「強い会社」を作ることになるのです。
そして、その堅い決意を盛り込んだ「経営計画」を立て、実行していきましょう。
4.書面添付を行おう!
「書面添付」制度とは、会社を管轄する税務署長に対して顧問税理士が行うもので、「この納税者が行った会計は税法上完璧ですよ」と保証し、さらにはその会計に基づいた申告なのだから「申告内容も税法に準拠した適正なものですよ」と証明するものです。このように「保証」し、「証明」するものですから、書面添付の書面とは、顧問税理士から税務署に対する「税務監査の適正証明書」とも言えるものです。
書面添付をすると、善良な納税者にとって大きな負担となる「税務調査」を少しでも回避できるようになりますので、その分、社長は税務調査を心配することなく、経営に専念できます。
なお、書面添付の前提は、法律を守ると言う「順法精神」ですから、社長が率先して不正を撲滅し、正義を貫く姿勢を堅持することが大切になってきます。この「順法精神」が会社の存在価値を高め、より強い会社を作って行くことになります。
5.中小企業の会計指針に準拠しよう!
「中小企業の会計指針」とは略称です。正式には「中小企業の会計に関する指針」といい、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会などの4団体が共同で定めました。会社法第431条では、「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする」と明記されていますが、この「公正妥当と認められる企業会計の慣行」を具体的に中小企業に対して示したものが「会計指針」です。
わが国の中小企業の決算は、従来「税法基準」で作成される場合がほとんどでしたが、金融機関からの要請により「会計指針」に準拠した決算書の提出を求められるようになりつつあります。
金融機関によっては、「会計指針」に準拠した決算書の提出を条件とすることにより、無担保や優遇金利の融資制度を設けたり、保証料の割引を採用するところも出てきています。
さらに、経営者が自社の経営成績と財政状態を正確に把握するためにも、「税法基準」で決算を行うよりは、「会計指針」に準拠した決算を行った方が理にかなっているとも言えます。
そこで、当事務所ではお客様の状況に応じて、できるだけ「会計指針」に準拠した決算書を作成するようにしていますが、ご要望により、さらに厳密に「会計指針」に準拠した決算を行うことも可能です。ぜひ、ご相談ください。正しい会計を武器として、より強い会社を作って行きましょう。